日暮里の老舗団子屋「羽二重団子」の文豪たちも愛したお団子

羽二重団子

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日暮里にある文政2年創業の老舗のお団子屋さん「羽二重団子」。
キメの細やかさが羽二重のようだと賞されことから、その名がつけられた「羽二重団子」はさまざまな文学作品にも登場します。
今回は、そんな歴史ある羽二重団子に伺ってきたのでレポートします。

リニューアルオープンした老舗団子屋「羽二重団子」

羽二重団子
創業200年の歴史を持つお団子屋さん「羽二重団子」。
正岡子規や夏目漱石、岡倉天心などのたくさんの文豪や文化人から愛され、作品にも登場します。
羽二重団子本店があるのはJR日暮里駅から徒歩5分ほどの場所。
羽二重団子は日暮里駅前にも1店舗あります。
本店は改装のためしばらく休業していましたが、2019年5月18日にリニューアルオープン。
オープン当日は夏目漱石のアンドロイドが来店!!
漱石アンドロイドによる挨拶もあったようです。漱石の目にはカメラが搭載されていて、笑ったり、手を振ったりして写真撮影に応じたそうです。
実際の漱石は写真撮影の時に作り笑いをすることを嫌ったみたいですけどね(^-^;

実は漱石ファンの私。なのに、この先もずっとアンドロイドが置いてあると勘違いして、オープン当日に行かなかったのです。
後日、初日限定だったことを知ってショックを受けました(;´Д`)漱石アンドロイド、会いたかったな(;´・ω・)
ショックで本店に一度も訪れていなかったのですが(笑)、今回ようやく初訪問することになりました!

羽二重団子本店の場所は?

日暮里駅
JR「日暮里駅」南口改札を出て右へ。
日暮里駅
階段を下りたら、右に進んでいきます。
羽二重団子本店
新しめのマンションの下に羽二重団子本店があります。

南改札は階段しかないので、北改札を出て、東口から出れば、エスカレーターやエレベーターがあります。

羽二重団子本店はどんなところ?

羽二重団子
黒い壁に大きな窓ガラスのモダンな外観。新しい暖簾?なのか紺地の暖簾がかかっていました。

羽二重団子
右側には羽二重団子の由来が記された立て看板が立っています。

団子の由来
芋坂も団子も月のゆかりかな 子規
江戸文化開花期の文化文政の頃 遙かな荒川の風光に恵まれたこの辺り日暮しの里は 音無川のせせらぎと小粋な根岸の三味の音もきこえる塵外の小天地でありました
文政二年 小店の初代庄五郎がここ音無川のほとり芋坂に「藤の木茶屋」を開業し街道往来の人々に団子を供しておりました
この団子がきめ細かくて羽二重のようだと称されそのまま菓名となっていつしか商号も「羽二重団子」となり創業以来今も江戸の風味と面影を承け継いで承おります

羽二重団子-芋坂
そして、「羽二重団子」の脇には「王子街道」「右 いも坂」と彫られた石柱が立っています。
羽二重団子の向かって右側の道を「芋坂」といって、昔は善性寺の門前から谷中霊園まで続く坂道でした。
現在は線路で分断されてしまっています。
羽二重団子-子規の句碑
子規の句碑も立っています。

羽二重団子-引き出し階段
写真は反射して見づらいですが、お店の左側のショーウィンドーには明治から昭和まで使用された商家特有の引き出し階段が展示されています。

羽二重団子
自動ドアから店内に入ると、目の前にレジカウンターとショーケースがあり、お土産用のお団子が並んでいます。
右側にはイートインスペースがあります。
羽二重団子
木製のテーブルや椅子が並びます。
羽二重団子
奥にはカウンター席もあります。
羽二重団子
テーブルや椅子にはかわいいお団子型の穴がデザインされています!
羽二重団子
カウンター席の横には子規や漱石の本が置かれていました。

羽二重団子-庭
リニューアル前はお庭がありましたが、現在はこちらの小さな小さな坪庭のみをガラス越しに見ることができます。
元々の庭にあった赤石や青石が置かれています。
羽二重団子
ガラスの雨除けの中に藤稲荷社も鎮座しています。

お庭がなくなり、残念がるお客さんの声も聞かれました。

羽二重団子のメニュー

羽二重団子 羽二重団子
羽二重団子の定番メニューは「羽二重だんご2本(税抜560円)」。
煎茶付きで、お団子は焼と餡。
お好みで希望の本数を選べ、焼2本、餡2本にすることもできます。
抹茶とミニ団子のセットもあります。
羽二重団子
「文豪が選んだ一皿」という面白いメニューも。
子規セットは焼1本に餡3本。
正岡子規は羽二重団子に足繁く通ったそうで、正岡子規が亡くなる前の年に書いた日記「仰臥漫録」にも登場します。
この「仰臥漫録」には日々の食事や俳句短歌が記録されていますが、その中に間食に羽二重団子を食べたという記述があります。

間食:
芋坂團子を買来らしむ(これに付悶着あり)
あん付三本焼一本を食ふ 麦湯一杯
引用:正岡子規『仰臥漫録(ぎょうがまんろく)』

子規庵

正岡子規が晩年を過ごした台東区根岸~上野の街を歩いてみた~子規ゆかりの地を巡る~

2019年9月19日
岡倉天心も羽二重団子を愛する一人でした。
岡倉天心の長男の岡倉一雄の随筆『父 岡倉天心』の中には以下のような記述があります。

当の天心は、芋坂にあった名物の団子屋の奥に、幾杯かの酒を傾け、勲然として帰るのを忘れていた。
引用:岡倉一雄『父 岡倉天心』

点心セットは焼2本に冷酒のセットです。
羽二重団子
漱石セットは焼1本と漱石もなかのセット。漱石は甘党なので、餡かなと思いましたが、焼団子。
漱石もなかは猫の形をしていて中にはしずくあんが3粒入っています。
漱石がお店に訪れたという記録はありませんが、小説「吾輩は猫である」の中に「・・・芋坂へ行って団子を食いましょうか。先生あすこの団子を食った事がありますか。奥さん一返行って食って御覧。柔らかくて安いです。酒も飲ませます・・・」という記述があるので、漱石もきっとここでお団子を食べたのではないかとされています。

羽二重団子
軽食の「藤稲荷セット」もあります。
人形町志乃多寿司総本店の稲荷寿司と海苔巻、五色巻、お吸い物、ミニ餡団子がセットになっています。
坪庭の藤稲荷大明神の霊験にちなんだメニューだそうです。
こちらは、11時半ごろからの提供になります。


飲み物は抹茶やゆずドリンク、あずき茶(冬期は販売休止)、「酒も飲ませます」とある通り、ビールや冷酒などもあります。

平べったいお団子!

羽二重団子
今回私が注文したのは、お団子2本と煎茶のセットの「羽二重だんご2本(税抜560円)」。
焼団子と餡団子が1本ずつにしました。(何も言わなければ焼団子と餡団子が1本ずつ提供されます)
常に焼き立てを提供してくださるそうです。
羽二重団子
お団子というとまん丸が一般的ですが、こちらのお団子は平べったい形をしています。
焼団子は、生醤油の香ばしい香りが口の中に広がる昔懐かしいシンプルなお団子です。
餡団子は甘さ控えめの渋抜きこしをたっぷりまとっています。きめ細やかで上品な餡です。
私は餡団子派。
羽二重団子
焼団子と餡団子を交互に食べていきましたが、ペロッと食べられてしまいます。まだまだ食べられそう( *´艸`)
以前、お土産で購入して食べたこともありますが、やっぱり出来立てはお団子の食感が全然違います!
なめらかで粘りがあり、やわらかくてもっちり。
お土産用は日持ち1日なので、その日のうちに食べましたが、数時間でも味や食感は変わってしまいます。
まずはお店で出来立てを食べていただきたいです。

羽二重団子かき氷
夏にはかき氷も提供しています。
写真は抹茶小豆。シロップをかけていただきます。

羽二重団子
お団子の他、漱石もなかやしづくあんなどがお土産用に販売されています。
日持ちが当日限りのものが多いですが、プティもなかは製造から3日、粒入りの水羊羹の「あずき羹」は少し日持ちします。

羽二重団子
左手には創業当初からの歴代のお店の写真パネルが展示されていました。こちらも反射して見づらいですが・・・
彰義隊の槍と刀
また、彰義隊の槍や刀も展示されています。
慶応5年(1868)5月15日、彰義隊は戦いに敗れ、追われた兵士たちは芋坂を駆け下り羽二重団子に入り、刀や槍を縁の下に投げ込み、野良着に変装して日光・奥羽方面を目指したそうです。
その時に残されたのが、こちらの槍と刀だそうです。
彰義隊の戦いの不発弾
こちらは戊辰戦争の不発弾です。
羽二重団子
羽二重団子

羽二重団子
入り口横には松山市から届けられたという俳句ポストが置かれていました。

羽二重団子の店舗情報

店名 羽二重団子 本店
所在地 東京都荒川区東日暮里5-54-3
TEL 03-3891-2924
営業時間 9:00〜17:00(ラストオーダーは、16時45分です。)
定休日 年中無休
公式サイト 羽二重団子
地図
店名 HABUTAE1819 羽二重団子 日暮里駅前
所在地 東京都荒川区東日暮里6-60-6
TEL 03-5850-3451
営業時間 10:00〜18:00
定休日 年中無休(年末年始を除く)
地図