2019年10月18日(金)の上野動物園ニシゴリラの様子をレポートします。
2019/10/18のニシゴリラの様子
トトに顔を近づけるモモカ
トトに顔を近づけじーっと見つめるモモカ。
しかもただ見つめるのではなく、かなり顔を近づけます。
ゴリラにとって見つめ合うのは挨拶だったり愛情表現です。一緒に何かしたいときなどに見つめ合うそうです。
ニホンザルの場合、威嚇になるので視線を合わせちゃいけないと言いますよね。
でもゴリラは逆に、覗き込んできたのに視線をそらすと怒るそうです(;’∀’)
ゴリラ研究の第一人者の山極 壽一さんは視線をそらしたら、ゴリラが憤慨してドラミングしてきたそうです。
その後は、モモカがリキにグルーミング(毛づくろい)してあげていました。
リキと遊ぶモモカ
モモカはリキとじゃれ合っています。
リキの上に乗っかるモモカ。
そして、プロレス開始!!
リキ、足四の字固め、決まりました!
続いて、モモコがリキを持ち上げたと思ったら・・・
背面に頭から落とします。スープレックス?
最初は人が少なく静かだったので、モモカとリキも周りを気にせずじゃれ合っていました。
しかし、だんだん観客が増えてきて騒がしくなってくると、モモカとリキが興奮してきました(;´・ω・)
リキはお客さん(特に子どもたち)に向かってドラミング。
モモカは勇ましさを誇示するため?ガラス窓を叩いたり、藁を投げたり・・・
その後、自分の頭をポコポコ叩き始めました(゚Д゚;)歯がカタカタしてる。
表情も険しい。
人間もストレスや思い通りにいかないと自分の頭を叩いてしまう人もいるけれど、ゴリラも同じなのかな?!
ゴリラは意外とストレスに弱い動物なんです。
その後は、木の上にゴローン。
しばらくリキと遊んでいました。
ハオコはモモカが散らかした藁を手で掃いていました。
リキと遊ぶハオコ
リキはモモカとしばらく遊んだ後、ハオコと遊び始めました。
ゴリラは1年間ぐらいは24時間、お母さんの腕の中にいますが、母乳以外のものを食べるようになると、お父さんに預けられます。
でも、お母さんに認めてもらわないと預けてもらえないそうです。
また、子供からも信頼してもらえないといけません。
ハオコはモモコにもリキにもお父さんとして認められたんですね!
モモコは全くリキの様子は気にせずエサを食べています。
リキの上の覆いかぶさるハオコ。立派なおしりしか見えない(*´Д`)
You Tubeでも10月18日のゴリラの様子を配信しているので、良かったら見てみてください。
ドラミングの意味
ゴリラが胸を叩く行為を「ドラミング」と言いますが、今回はドラミングについて少し解説します!
昔は、ゴリラのドラミングは「宣戦布告のサイン」、「攻撃のサイン」と考えられていました。
しかし、20世紀後半に野生のゴリラの研究が進むと、そうではないことがわかりました。
ドラミングはいろいろな状況で行われます。
- 自己主張
ドラミングは周囲のゴリラに自己主張するための表現方法です。
ゴリラは負けず嫌いなため、負けないために勝負するのではなく、引き分けで対等に終わらせようとします。
そのために、群れのリーダーであるシルバーバックは、遠く離れた場所にいる他のゴリラの群れに、ドラミングすることで自分たちにあまり近付かないように警告します。
そうすることで、衝突せず引き分けで終わらせようとするのです。
他のゴリラが視界には見えなくても、ドラミングによって近づかないよう警告するようです。[注]
<参考文献>坪川桂子,2012,「他個体の存在に対する野生ニシローランドゴリラ単独オスの応答」 『 第28回日本霊長類学会大会』
ドラミングの音は2㎞先まで届くと言われていてます。
ドラミングをするのは大人のオスだけではありません。子どもやメスのゴリラもドラミングします。
ドラミングは自己主張をするときに使われます。
前述したように負けず嫌いな性格なので、怒ったり、不満を感じるとすぐにドラミングします。
- 他の子どものゴリラを遊びに誘う
ゴリラの子供たちは遊ぶのが大好き。
他のゴリラを遊びに誘う時にもドラミングします。
遊んでいるときにはよくドラミングする姿が観られます。
- 気持ちを落ち着かせる
興奮した時に自分の気持ちを落ち着かせるためにドラミングをすることがあります。
- 自分の居場所を知らせる
自分の居場所を仲間に知らせる時にも使われます。
餌の場所を発見した時や、自分が危険にさらされた時などに仲間に知らせるためにドラミングをします。
このように仲間とつきあうためにドラミングは、さまざまな状況で使われ、お互いの気持ちをはかる道具になっているのです。
ゴリラは胸をたたくとポコポコという音がします。
オスのゴリラは成長すると、のどから胸の下にかけて大きな袋が発達します。
息を吸って胸をふくらませた状態で胸をたたくと、ポコポコという音が鳴るのです。
ちなみに、ゴリラが胸をたたく時、こぶしをグーにして叩くのではなく、パーの状態で叩いています。